2016年4月7日木曜日

やる気はどうやって引き出せばいいのか


 昨日から東進の「今でしょ!?」で有名な林先生がやる気について語ったことが話題になっています。やる気のない生徒にやる気を出させるという流れで林先生がどう対応するかという話だったようです。それがこちら。

http://spotlight-media.jp/article/266452393237798260

 ただ、このニュースに関して肯定的な意見が多いのは結構ですが、この記事には大きな落とし穴があることは決して無視できません。それは「話の論点がすり替わっている」点です。一連の流れを追って説明しましょう。



 まず、林先生に投げかけられた質問はこうです。

「生徒にやる気を出させるにはどうすればいいのか」

それに対する林先生の答えはこうでした。

「やる気がないならやめてしまえと言いますね」

それで生徒はやる気が出るのか?という出演者の質問に、こう答えています。

「ある大学の先生の言葉が心に残っている」



 もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「それで生徒のやる気が出るんですか?」という質問にYESでもNOでもなく「あるエピソード」で答えている。ということは、これはあくまでも先生の経験論にすぎないのです。

 林先生の注目度、東進の超有名講師という立場、出演者などの肯定的な反応、番組の演出、このニュースを取り上げるサイトでの肯定的な賛同意見での補強。ここまであると、ほとんどの人がもしかしたら「林先生良いこと言っているな〜」と感じているかも知れませんが、冷静に考えてみると、林先生は質問に答えていないと分かるわけです。

 「やる気がないならやめてしまえ」でやる気が出るケースは実は相当稀です。かなり稀なケースを特別な人が言うから「スゲー」となりますが、応用できなければ意味がありません。大事なことは「自分のやる気を引き出すには?」「あの子のやる気を引き出すには?」という問題への答えです。

 林先生すごいな〜と言う人達に水を差すような言い方をしてしまって申し訳ありませんが、私は曖昧な精神論とか、一見すごそうに聞こえる意味のない話とかに誰も翻弄されてほしくはないのです。そこで「やる気」について少しだけお話しさせてください。

 「やる気」というのは脳が起こす現象の一つです。感情とか精神とか集中とか思考、意識、記憶、そういったものは全て脳が起点となって生じています。ということは、脳から「やる気」を紐解いていけば、何かしらのヒントがあるはず、と考えていきましょう。

 さて、少し専門的な言い方をすれば、やる気には2種類あります。
・内的動機付け
・外的動機付け
です。

 ちなみに多くの人が「やる気=モチベーション」だと考えてしまっていますが、実はそれは間違いです。モチベーションとは「外的動機付け」のことで、やる気にはモチベーションとは根本的に異なるもう一つのやる気が存在することをここで気づいていただきたいと思います。

 それは「内的動機付け」です。多くが知ることとなる成功者のほとんどは、モチベーションではなくこちらの「内的動機付け」の方に由来します。ダニエル・ピンク氏執筆、大前研一氏訳の『モチベーション3.0』で「ドライブ」と呼ばれているものがそれです。

 この2つがどう違うかと言うと、やる気が湧いてくる要因が外側にあるか内側にあるかということです。

 勉強が苦しいと思っている人の多くが苦しいと思う理由は、そのやる気が「きっかけ」がないと引き出されない点にあります。成功者たちが成功者たる所以は、やる気が勝手に吹き出してくるからです。頑張っているように見えないのになぜか成績が良い子たちというのは、頑張ることにきっかけを必要としません。だから勉強が苦しくない。

 勉強は苦しいうちは伸びません。苦しいというのはストレスです。ストレスは脳の一番の天敵。ストレスがかかると脳は萎縮し、記憶の定着が著しく低下します。だから苦しい勉強を続けても成績がなかなか伸びないのです。

 では「ドライブ」はどうしたら引き出すことができるのか。どうしたら勉強を苦しむことなく続けていくことができるようになるのか。そういったことから教えているのがアップスタディなのです。

 当自習室は無駄なことはさせたくない。林先生が言うように「やる気がないならやめてしまえ」と私も言うことがありますが、それは効率を考えるからです。やる気がない状態で勉強しても記憶の定着率が低いから、かけた時間だけの成果は得られないのが目に見えているからです。だったらやる気がない時はやらない、その代わりやる気が湧いてきたら一気に集中して頑張れば良い。そう伝えます。

 そもそも勉強にやる気が湧かないのは生徒が悪いわけではありません。全部大人が悪いのです。なのにやる気が出ない生徒を大人が叱るのはフェアじゃない。そんな資格もないし、そんな立場でもない。だけど放任するのも違うんです。やりたい子だけやれば良いよ〜やりたくない子はやらなきゃ良いよ〜なんてするのは単なる大人の責任放棄。それは違う。だから迷いながらも大人は子どもに勉強しなさいと進めるわけです。

 やる気が湧いてくるのを待ちますか?やる気には引き出し方がちゃんとあります。行き当たりばったりの人生はもうやめましょう。ルールがあるならルールに従うべきなんです。効率が悪いよりも効率は良い方が絶対良い。だったらやる気の出し方を知る方が良いと思いませんか?

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