2013年11月18日月曜日

この機能はキミたちには必要ありません


『苦手とかムリとか言ってたら何にもできなくなるよ』
(FBどなたかの記事より)


最近ナイナイのお二人によるCM
よく見かけますね。
ここで紹介されているのは
自動制御システム「プリクラッシュセーフティシステム」の一つ
「スマートシステム」です。

前方の障害物を認識して
自動でブレーキをかけてくれるシステムで
最近多くの車種に搭載されるようになってきました。


ここで利用されているのは
レーダーやカメラによる障害物認識装置ですが、
ことスマートシステムによると
「時速4~30kmでの走行時に限り機能する」
という注意が加えられています。


車を運転することの少ない方には
イメージしにくいことかも知れませんが、
基本的には40~60km以上の走行時にこそ
ついていて欲しい機能です。
ちなみにスバルの「アイサイト」は
全走行域で機能するそうです。
なぜこの違いが生まれてしまうのでしょうか。

http://www.youtube.com/watch?v=n1x2Hyu1zEc


自動車には停止距離というものがあります。
停止距離は以下の公式から導かれます。

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停止距離=空走距離+制動距離
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空走距離とは
人が危険を認識してからブレーキを踏むまでに
車が進んでしまう距離を言い、
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空走距離=反応時間[秒]×自動車の速度[秒速]
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で求められます。


また制動距離とは
ブレーキを踏んでから自動車が停止するまでに
車が進む距離を指します。
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制動距離=ブレーキを踏んだ瞬間までの自動車の速度[時速]の2乗
                             ÷ (254×摩擦係数)
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で求められます。
なお、摩擦係数とは自動車のタイヤと地面の間に掛かる抵抗力で
天気と道路状況に左右されるものです。
濡れていれば滑りやすいの摩擦は小さくなり、
砂利道なら抵抗が大きく摩擦係数は大きくなります。


さて、つまり停止距離とは
危険を認識してから
実際に自動車が止まるまでの距離だということです。


この距離感は
教習所で教えられている公式を参照すると
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時速30kmで3×(3+1)+2=14m
時速40kmで4×(4+1)+2=22m
時速50kmで5×(5+1)+2=32m
時速60kmで6×(6+1)+2=44m
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ただ、実際には車の技術が進歩しているため、
これよりも短い距離に抑えれているそうですが、
仮に上の距離を半分で考えたとして、
時速60kmの時には22m手前で
障害物を認識する必要が出てきます。


レーダーやカメラなど精密機器で認識した場合、
それがブレーキ機能に反映される反応時間が
人間のそれより速いとしても、
確実にブレーキをかけてから障害物手前で停止するには
もっと前で認識するのが理想です。


しかし認識距離を縮めると
今度は障害物ではないものを
障害物として誤認する可能性が高くなります。


さらに、意識にないタイミングで急ブレーキがかかると
車内の人間にとっては首の鞭打ち等
逆に危険が増すことも予想されます。


そもそも自動でブレーキをかけてくれること自体、
厚労省が認可を渋ったのも分からなくもありません。
この機能がどれだけ事故を抑制してくれるか
結果を見てみることにしましょう。


ただ、現時点で確実に言えることは、
こういった機能が
子どもたちの多くに早くから備え付けられているということです。


危険や障害をいち早く認識して
リスクを回避するためにブレーキをかける。
挑戦するよりも諦めてしまったり、
不合格を恐れて志望校を下げてしまったりする。


キミたちにはこのシステムは
必要ありません。
自動車と違って“クラッシュ”しても死ぬことはないんです。
またやり直すチャンスが必ず与えられます。
多少恐怖感や不安感はあるかも知れませんが、
セーフティ機能なんて外して
何ならスピードリミッターも解除して下さい。


キミたちが人生において
ブレーキをかけるのは早すぎます。
今はどんどんクラッシュしてもいいくらいです。


傷付くでしょう。
でも、むしろそれが目的です。
どんどん傷付きましょう。
今のうちに色んな失敗や挫折を経験することで
どんどんメンタルが鍛えられていきます。
それがないなら貧弱なメンタルのまま大人になり、
本当に大事な瞬間に
恐くてチャレンジできなくなってしまいます。
今以上に失敗できない状況に
追い込まれているはずですから、
今クラッシュを避けるということが
本当の意味で人生のクラッシュに繋がってしまいます。


キミにプリクラッシュセーフティシステムは不要です。
大丈夫です。
目標に向かって速度制限破って突っ込みましょう。


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