2013年11月1日金曜日

山本太郎の直訴行為について


『帝国憲法の権利を維持し、将来の国の無限の力、そして豊かさを、公害が断ってしまうかもしれません。鉱毒の水が流れ続ければ、その損害は計り知れないものになることを、一臣下として怖れます。61歳になる私は、病を得て、余命はわずかです。陛下と社会のご恩に報いることを考え、利害を考えず申し上げます』
田中正造


今朝から山本太郎氏の
“重大なルール違反”が話題となっています。


昨日10月31日に行われた園遊会で、
山本氏は自らしたためた手紙を
天皇陛下に直接手渡されたとのことで、
内閣府および宮内庁の関係者たちが
天皇陛下を政治利用するとは何事だ!」
との批判を浴びせているのです。


奇しくも今年は田中正造没後100年に当たるということで、
明治天皇に直訴状を手渡した田中氏の行為と、
今回の山本氏の行為が重なるという点でも
話題を呼んでいます。


そもそも現在の天皇が政治に対して許されている行為は、
日本国憲法で決められた国事行為だけです。

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内閣総理大臣の任命
最高裁判所長官の任命
憲法改正、法律、政令及び条約の公布
国会の収集
衆議院の解散
批准書及び法律の定めるその他の外交文書の認証
栄典の授与
など
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ちなみに田中正造が足尾銅山鉱毒事件で
明治天皇に直訴状を出したのは1901年のこと。
帝国主義下にある当時の日本にとって
明治天皇は戦争における最高指導者でもありました。
今とは天皇制の在り方そのものが違う。


今回の直訴状を天皇陛下自らが
お目通しされるのかは分かりませんが、
山本氏的には
「天皇陛下のお墨付き」は武器だと考えたのでしょう。
政治利用という発想はなかったとしても、
「日本の象徴」は大きな味方だと思ったとしても
不思議ではありません。


今回の直訴状の手渡し行為に対して
政治家の皆さまがヤンヤ言うのは
目障りな山本氏の排斥が目的でしょうが、
山本氏にも問題があります。
論が感情的すぎるのです。


脱原発という感情論の代表者として
議員となったのは立派なのですが、
表面的な知識で取り繕い
底の浅い理想論で粗を隠している現状は、
有識者にはどうもバレバレです。
堀江貴文氏に一蹴された
「核燃料処理に関する資金捻出」論議は
Youtubeでも公開されていますので
是非参考にされて下さい。


直訴行為については
それだけ気持ちが強い方であるという評価も否めない。
暴力団との関わりを公言しているという背景を踏まえると、
今回の天皇陛下への行動も
結構護衛体制の不備を指摘されるような
危ないラインかも知れません。
今後山本氏への警戒は深まるでしょうし、
余計に山本氏の意見が通りづらくなることでしょう。


今回の直訴状に書かれた
子どもたちや作業員の方々の健康被害のエビデンスは
明確なものなのかも疑問です。
健康被害の原因は
本当に今回の原発問題なのか、
その裏取りができていないのであれば、
直訴行為そのものが無駄になってしまいます。


超人気漫画『ONE PIECE』でも、
「力のないやつは何も守れないんだ」
というフレーズがあります。
感情論になるのは分かるのですが、
原発の脱動問題(脱原発か稼働継続か)は
あくまで日本の将来に関わる重要案件です。
今回山本氏の行為が報われるかどうかは、
橋下大阪市長ばりの“予習”が
できているかどうかに懸っています。


とにかく、世渡り下手な山本氏が
この後どれだけ干されて行くのか心配です。


破るべきルールもあるでしょうが、
破ってなお許されるのは力ある者だけです。
ドラマのようにはいきません。
周囲を納得させられるだけの
能力的インパクトが必要です。


単なるパフォーマンスか、
勇気ある行為か。



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